2017年の定額制音楽配信について考える
今年も残すところ約3週間ということで、1年を振り返る記事1本目。
今年から使い始めたサービスの一つが "Apple Music" 。来年も使用を継続することを決めたので今月から年間契約に移行しています。今回はそのお話。
1.Apple Music 導入のきっかけ
主要な定額制音楽配信サービスは2015年に既に開始されていましたが、当時はまだラインナップ不足と感じており無料期間の終了に合わせて使用を止めていました。しかし昨年Spotifyが日本でのサービスを始めたことを受けて、再び定額制音楽配信サービスの契約を検討しました。また同時期にSNS等で、自分のローカルライブラリにある楽曲が配信開始された情報を見聞きしていたため「以前よりもラインナップが充実してきている?」と感じていたことも一つの要因でした。
Spotifyとも迷いましたが最終的にはApple Musicに決まりました。*1
この時の基準は自分の聴きたい音楽が多い方、というシンプルなもの。なおサービスごとの違いはこちらのページで詳しく解説されています。
2.サービス導入前後での変化
主にCDレンタルで音楽を聴いていた2016年とApple Musicを使い始めた2017年で、それぞれライブラリに取り込んだ新作のアルバム*2の数を比較しました。結果以下の通り。
- 2016年:35枚
- 2017年:51枚 ※2017/12/10現在
比較するために新作のアルバムに限定しているので、昨年比で1.5倍程度と思ったほど増えていないように見えます。しかし実際には、新譜のシングルや過去作品もガシガシ取り込んでいるため体感的には昨年比で2倍を超えているように思います。
さらに、"発売後すぐに音源が入手できること + ワンタップでライブラリに取り込めること "でかなり気軽に音楽を聴ける環境になったと感じています。
3.音楽の聴き方の変化
気軽に音楽を聴けるのはいいけど、音楽を聴く時間の総量はライブラリの増加と同じだけ増えたのか?それはおそらく違います。例えば以下の記事。近年のヒット曲の傾向として曲の長さが短くなっている、との研究結果が発表されています。
1. さらば、イントロ
80年代は、ポップ・ミュージックにもヴォーカルの前に楽器によるイントロがあった。これは平均して20秒続いていた。現在、ヴォーカルは曲の始まりから平均5秒後にスタートする。
(中略)
5. 曲自体も短くなった
時代とともに、楽曲の平均時間は次第に短くなっている。現在、ランキング入りする曲で3分30秒を超えるものは非常に稀だ。
引用:音楽ストリーミングがもたらした、全米ヒット曲の「7つの変化」:研究結果|WIRED.jp
またヒップホップグループ:RHYMESTERの今年のインタビュー記事ではサブスク時代におけるリスナーの視点が語られています。
― 全10曲41分でインタールードなし、というアルバムのコンパクトな内容もあらかじめ決めていた? これはライムスターのディスコグラフィでは『POP LIFE』(2011年)の全11曲40分と並ぶタイトさになるんだけど。
Mummy-D 最初から長くしようとはもちろん思ってないし、昔からベストは10曲で終われるもの、8曲しか入ってなくてもすごいと思わせられるアルバムをつくりたいと思っていたけど、今回はそれが可能な状況だったんだよね。もうこれ以上はいらない、十分足りてます、という。俺がサブスクリプションサービスをすごく使うようになって、ちょっと興味がある人たちのアルバムを聴いてみようかって思ったとき、18曲入っていたりするとやめちゃったりすることもあるんだよ。こっちとしては手っ取り早くその人たちの全容を知りたいわけで、その場合は短いほうがいいわけだからさ。
個人的にもフルアルバムより5~7曲入りのミニアルバム/EPの方が聴きやすい感覚が以前よりも強くなってきています。また嗜好の問題もありますが、5分を超える曲は長いと感じやすいです。曲自体もさることながら、パッケージ全体としても短くなっている傾向は今後も続きそうです。
4.定額制音楽配信サービスの現在と今後
この記事を書こうとしていたタイミングで良い発表がありました。主要音楽配信サービスにて、宇多田ヒカルの過去作品全てが解禁されたのです。
今年はDREAMS COME TRUEや、スキマスイッチ/秦基博などが所属するオフィスオーガスタの一挙配信等もあり、来年はさらにラインナップが充実する可能性があります。ラインナップの充実という観点で言うとサービス利用者として困るのは以下のパターン。
- 過去作は配信されているが、新作は配信されていない or 部分的に解禁
リリースから一定期間経過後に配信されると推察されるが、その保障はないため不安が残る。
LiSA:2017年リリース作品は全て未配信
yonige:「girls like girls」→2曲のみ配信
フレデリック:「TOGENKYO」→2曲のみ配信 - 新作 or 一部タイトル のみ配信
全面解禁の布石と捉えたいが、様子見パターンもあるため安易には喜べない。
椎名林檎:配信限定曲(2016年以降)+セルフカバーアルバムのみ配信
RADWIMPS:ストリーミング向けプレイリストのみ配信
THE YELLOW MONKEY:新作の配信限定曲+過去のベスト盤のみ配信 - 全曲未配信
解禁されたらラッキー、程度にしか考えていなのであまり気にしていない。しかしより多くのユーザーを取り込める可能性があるのはこのパターンに分けられるアーティスト。※“音楽ファン2万人が選ぶ好きなアーティストランキング”2017 参考*3
Mr.Children, back number, スピッツ, 星野源 …等
ローカルに保存されている楽曲をアップロードする"iCloudミュージックライブラリ"は何かと問題が多いため、現時点ではApple Musicライブラリで配信対象となっている新作のみを管理しています。来年以降、ラインナップがより充実してきたら過去作品も含めたライブラリの構築をしていきたい。
5.まとめ
少しずつではあるけれどサービス開始当初よりも楽曲のラインナップが充実してきたし、新作を気軽に聴けるようになったし、Apple Musicを契約して良かった。それではまた。
余談:サカナクションはほぼ全ての楽曲が配信されているので、セットリストのプレイリスト化が簡単にできた。ライブラリの充実はこういった点でもありがたい。
*1:ちなみにAndorid端末にApple Musicのアプリを入れているという変な状態です。同じ状態の人はどのくらいいるのだろうか…。
*2:5曲以上のミニアルバム/EPを含む
*3:https://www.oricon.co.jp/special/2017/favorite-artist-ranking/index2.html#total
20171002
唐突に書きたくなったので、箇条書きで書いてみる。
サカナクション Sound Aroundの件
9/30(土) 幕張メッセ 9-11ホールにてサカナクションの10周年記念ライブを見てきた。
とにかく音が良かった。耳がキーンとなるほどうるさくないし、かといって迫力が損なわれることもなかった。
ライブ直後でも同行者と普通に話せるくらい、耳への負担が少なかった。
ライブに行くときは念のため、耳栓を持っていくのだけど結果的には必要なかった。
「ユリイカ」の演出は音響的にも視覚的にも素晴らしかったし、「アイデンティティ~多分、風」の繋ぎも素晴らしかった。※ 以下動画の09:17~が該当。
宇多田とYONCE
宇多田ヒカルがSony系のレーベルに移行したと思ったら、早速CMに起用されると。そしてAppleに続いてSonyのCMでもSuchmos。ここ最近のSonyのCMで一番気合入ってるんじゃないだろうか。新製品の予約も好調の様子。
宇多田ヒカル、suchmosとタイアップ!ノイキャン・ワイヤレス。宇多田ヒカルの新曲「あなた」と、Suchoms(サチモス)「OVERSTAND」とタイアップしたWEBムービー公開中!https://t.co/0W5lqGAG9O pic.twitter.com/Gyzn1wruvB
— Sony (Japan) (@sony_jpn) 2017年10月2日
椎名林檎の新作 (セルフカバー)
東芝EMIガールズのもう一方である椎名林檎も新作を発表。こちらもCM。
東京事変の解散ライブで既に披露されていた「おいしい季節」が初音源化。
公式が何も言ってないのが気がかりだけど、明日には更新がありそう。
それにしても相変わらず働きすぎでは。
「おとなの掟」、「目抜き通り」に続いてコレと。
話は変わってスピーカー:Amazon vs Google
そろそろGoogle Homeが日本上陸かと10/4の発表を待っていたら、Amazonがぶつけてきた。敢えてこのタイミングにしたのだろうか ? いずれにせよどこかのスマートスピーカーは買う予定。
アメリカで売られているGoogle Homeが日本語対応しているとの情報をアメリカ方面から聞いた。いよいよかしら。
— 石川 温 (@iskw226) 2017年10月2日
最後は自分のツイート
TransferJet X、だそうです。/ ICカードかざさず改札通過 ソニー、近接無線普及に再挑戦:日本経済新聞 https://t.co/1FEai9v6Bv
— iNAHO (@k5khrS) 2017年10月2日
過去に関連記事を書いていたので、懐かしいなぁと思いツイート。
先にIEEEで標準化しておいて、後はコンソーシアムで製品作りますのパターン。
B2Bで日の目を見るのかどうか。
2017年上半期 よく聴いたトラック(邦楽・J-POP)
昨年度バタバタしていた反動でいろいろ辞めてみたり、また戻ってみたり。自由な時間が増えた分、その使い方をきちんと考えなければなぁというところ。さあさあ振り返りの意味を込めて2017上半期のベストトラックをまとめて行きましょう。いつも通り発売順に載せています。前回分はこちら↓
Awesome City Club 青春の胸騒ぎ
イントロのシンセの音からやられてしまった…。こういう切ない感じにグッと来ない訳がない。歌詞も分かりやすくて好きだ。珍しく降りだした雪をきっかけに、過去のあれやこれやを思い出しつつ、現在と比較してしまうと。もっぱら夜に聴いてる。
彼らのワンマンには足を運びたいのだけど、東京公演はほぼ毎回平日だからずっと行けておらず…。今年は絶対にどこかで見る!
LiSA Catch the Moment
LiSA ×田淵というド鉄板の組合せで、もう何も言うことはない。
”あと何回キミと笑えるの? 試してるんだ 僕を Catch the Moment ”
ONIGAWARA ヒットチャートをねらえ!
"SUPER J-POP UNIT"の自称に恥じない、圧倒的ポップさ。スウェイビートが使われているおかげで踊りだしたくなるリズムを持っているのはもちろんのこと、そこに載っている「とにかく今を楽しもう!」というメッセージが強力。昔描いていた未来とは違うし、思い返すと昔の方が良かったと感じるのかもしれないけど、今を大事にしようと言い切る潔さが良い。
DADARAY イキツクシ
"課長ーッ!" つくづく川谷絵音の作家としての素晴らしさに気づかされる。あれだけアウトプットだせるのだから、インプットも相当なものなんだろう。
DADARAYはメインボーカルのREISを除くと、the絵音バンドとでもいうような布陣で安心感しかない。REISはかつてNIKIIE名義で活動していたようですが、同一人物だと明示はされていないようで。ルパン三世のEDとかやっていた記憶。
フレンズ 塩と砂糖
なんでもっと早く気付かなかったんだ…、と後悔したバンド”フレンズ”。リリース時期的には別のフレンズの方が流行っていましたが。それぞれのメンバーにバンド経験があるからこそ、ふざけているようでも演奏面は手堅い。同じアルバムに収録されている「夜明けのメモリー」ではしっとりと聴かせてくれます。
Base Ball Bear すべては君のせいで
昨年はデビュー10周年という記念すべき年にGt.湯浅将平の脱退でかなり慌ただしかったであろうベボベの新作。曲のタイトルからしてズルいのに、PVに本田翼だしちゃうかー。3人になった彼らは昨年様々なギタリストをサポートに迎えていたんですが、現在メインでサポートしているのは弓木英梨乃(KIRINJI)。彼女を初めて見たのは秦基博のライブでしたが、そのおっとりした佇まいからは想像できない男勝りなギターにかなり驚きました。
椎名林檎とトータス松本 目抜き通り
昨年大晦日、東京事変の復活で音楽好きの期待に応えまくった椎名林檎の新作は、商業施設 GINZA SIXのテーマソングであり、しかもトータス松本とのコラボレーション。
ソロでデビューしてから約20年、歌舞伎町から銀座へ。ミュージカルなんてほとんど見ない自分が「ラ・ラ・ランド」を見てだいぶ影響を受け,2週間後にこのムービーが公開されたものだから、「日本版ラ・ラ・ランドだ!」などと分かりやすい反応してしまいましたが、日本にもこんなにゴージャスな音楽を作れる人がいて良かったなぁ。
ポルカドットスティングレイ エレクトリック・パブリック
YouTubeのサムネで押したら負けだと思っていたバンド、"ポルカドットスティングレイ”。なんでかと言えば、あざといからである。確か一番最初にYouTubeにリコメンドされたのは「テレキャスター・ストライプ」。
なんども無視してきたけれど、そのあざとさに負けクリックしたらすぐハマりましたね。本当にちょろい。ヴォーカルの雫さん、ゲームクリエイターでもあるそうで完全な自作自演家。今年春以降フェスの出演が続々決まっているので、どこかでは見れるでしょう。
クリープハイプ イト
長らく聴いていなかった割に、昨年アルバム「世界感」を聴き始めたら、また過去のアルバムをリピートするようになるくらい自分にとっては強い引力があるバンド。打ち込みが印象的だった「5%」、ラップを載せた「TRUE LOVE」等を経て、「イト」ではバンドサウンドを基調としつつも、ウワモノが効果的に使われており、これまでのクリープハイプとは違った印象を受けた。
tofubeats LONELY NIGHTS
メジャー1st/2ndと積極的にコラボをしていたtofubeatsの新作は、tofubeats自身が歌唱する楽曲が増えた。"LONELY NIGHTS"は5行のリリックの繰り返しがメインだけど、まったく飽きがこない。トラックがしっかりしていることの裏返しなのだろう。
まとめ
ここに入れられなかった曲もあるくらい、新譜を聴く機会が増えた。自分の興味の幅が広がってきていることはもちろんのこと、ようやくApple Musicを定期契約するようになったことも大きい。Spotifyと迷ったけれど最終的には品揃えでApple Musicに決めた。水曜日の深夜0時にボタン一つで新譜が聴ける体験は、改めてすごいなぁと感じる。
はやくも今年の折り返しですが、後半も自分のペースを崩さないように気をつけながら生きたいと思います。それではまた。