”Mr.ChildrenはなぜUSBアルバム:REFLECTION{Naked}を選んだのか” の答え合わせ ~ROCKIN'ON JAPAN 2015年7月号より~

こんにちは。記事の連投が続いていますが、今回は最近アクセス数の多い以下の記事の続きを書きます。 

k5khrs.hatenablog.jp

 これは2か月前に書いた記事ですが、雑誌やファンクラブの会報等で桜井さんからアルバムに対するコメントが出てきたので、アルバム発売直後の今改めて”Mr.ChildrenはなぜUSBアルバムを選んだのか”についてまとめていきます。

Mr.ChildrenはなぜUSBアルバムを選んだのか”

ROCKIN'ON JAPAN 2015年7月号からの引用を中心に、書いていきます。

・USBでのリリースという、もうひとつの大きな、これも前代未聞のトピックがあるんだけれども。これに関してはどういう経緯なんですか?

桜井「これに関しては・・・2枚組にするとしても、どこで区切ればいいのか、っていうのもあったし。レコード会社の人的には、2枚組というのは非常に売りにくい(笑)。だったらUSBの形で全部入れようと。僕的にもほんとにただ全部聴いてほしいっていう、それだけですけど、うん。」

 前記事の1つ目の考察「なぜCD2枚組でないか」については、レコード会社的な事情も含まれていたことがインタビューで明らかになりました。ベスト盤を除くオリジナルアルバムで2枚組というのは、確かに少ないですよね。一方で次のようなコメントもありました。

・でもUSBリリースっていうのは抵抗感なかったの?

桜井「そういう議論もありましたよ。いまだに、ちょっと後悔してたりするもんね。地方に行った時、ライブ会場でアルバムの予約会をしてるんですね。そうすると、コンピューターを持ってない世代のお客さんがやっぱり結構いるらしくて」

スマホだけとか?

桜井「いやいや、CDデッキしか持っていないっていう」

・あぁ、なるほど。

桜井「実際現場に行く前の僕らの、東京でレコーディングしてる中での話は、『今やCDプレイヤー持っていない若者とか、いっぱいいますからねぇ』『じゃあUSB大丈夫じゃない?』っていう、そういう話でGO!だったんですけど」

 こちらは前記事の2つ目の考察「なぜ配信ではないか」に関連するところです。私の想定を上回るレベルでPCは普及していなかったようです。Mr.Childrenの”幅広いリスナーへの配慮”というのはかなり難しそうです。

一方でやや不思議なのは、『配信』という単語がインタビューを通して一切でてきていない点です。配信を避けることがアーティスト側の意向によるものなのか、レコード会社の意向によるものなのかは現時点では判断できません。しかしインタビュー中意図的に『配信』の話題を排しているように感じました。2008年の『僕らの音楽』で伊集院さんと対談した際には、「(ダウンロード・音楽配信という)時代の流れに抗っていたい」と桜井さんはコメントしていました。現在も同じ意思を持っているのかもしれません。あくまで手触りのある”パッケージ”にこだわりたいということかもしれません。

(映像6:00~が該当)

{Drip}と{Naked}はそれぞれどういう位置づけなのか

さて前回の記事で疑問として提示してあった{Drip}と{Naked}の位置づけについてインタビューで触れられていたので、そちらも引用します。

桜井「ひとつはUSBで全曲入ってる、もうひとつはお茶の間にも手の届くサイズの作品を、自分たちでチョイスした曲で提示するというのは、これはひとつの、僕の悪意があると思う」

・(笑)どういうこと?

桜井「世の中に対しての悪意というか。全部が全部『これを聴いてください』みたいなやさいい気持ちではないというか・・・だから、あんまりいい喩えじゃないかもしれないけど、水商売の女の子がお店の中で見せる顔が{Drip}で。{Naked}はちゃんとした彼氏に見せる本当の私の顔、っていうかね(笑)」

 「なんだその喩えは(笑)」と全員がツッコミしそうな喩えです。基本的には{Naked}がメインということ間違いないでしょう。ファンクラブ会報にはもう少し詳しく書かれていましたが、そちらは割愛します。

まとめ:Mr.Childrenだからこそできたチャレンジ

ROCKIN'ON JAPAN 2015年7月号からの引用という形で、以前私が提示した考察の答え合わせをしてきました。いずれにせよ9000円(税抜)という価格でUSBアルバムを販売できるアーティストは、ほんの一握りでしょう。これからも無理のない範囲で活動してほしいと願っています。

それではまた。